2021年度FIT買取価格、委員長案を公表

経済産業省が1月22日に開催した第67回 調達価格等算定委員会で、固定価格買取制度(FIT制度)に加え、2022年度に導入される市場連動型のFIP(Feed-in Premium)制度を踏まえた、2021年度以降の制度の方向性案と、それを踏まえた調達価格等についての委員長案が示された。

今回委員長案で示された太陽光発電の調達価格は、10kW未満で2021年度19円/kWh、2022年度は17/kWh(2020年度は21円/kWh)。10kW以上50kW未満で2021年度12円/kWh+税、2022年度は11/kWh+税(2020年度は13円/kWh+税)。10kW以上については、解体等積立基準額も示した。

陸上風力発電(新設(250kW未満))の2021年度の調達価格は17円/kWh+税(2020年度は18円/kWh+税)。

また、2021年度の入札対象となる太陽光発電(250kW以上)、陸上風力発電(新設(250kW以上)、上限価格17円)については、事前に上限価格を公表して実施するとともに、太陽光発電の2021年度の入札は4回(第8回~第11回/上限価格はそれぞれ11.00円、10.75円、10.50円、10.25円)開催する方向性を示した。

なお、バイオマス(一般木材等(10,000kW以上)・液体燃料)の入札については、これまでと同様上限価格を事前非公開で実施する。バイオマスの入札以外の区分では調達価格は前年度と同様とした。

その他、主な方向性案・委員長案は以下の通り。

委員長案の概要について

太陽光の解体等積立基準額について

太陽光(10kW以上)の解体等積立基準額は以下の通り。

陸上風力(250kW以上)は上限価格公表で入札

陸上風力発電の調達価格は、250kW未満(新設)で2021年度は17円/kWh+税、2022年度が16円/kWh+税、2023年度は15円/kWh+税。250kW以上(新設)は事前に上限額を公表し入札制を実施する(上限価格は250kW未満の調達価格と同額)。リプレースの調達価格は2021年度15円/kWh+税。

着床式洋上風力発電は入札を廃止

着床式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)については入札を廃止する。2021年度の調達価格は32円/kWh+税、2022年度の調達価格は29円/kWh+税とする。

なお、浮体式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)の調達価格は2020年度と同じ36円/kWh+税。

FIP制度について

FIP制度は、卸電力取引市場や相対取引で再エネ発電事業者が市場に売電した場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアムとして交付することにより、投資インセンティブを確保するもの。

今回示された案では、各区分等の基準価格は、FIP制度導入当初は、各区分等の調達価格と同水準とし、また、各区分等の交付期間は、各区分等の調達期間と同じとすることが適切だとした。

FIP制度は、再生可能エネルギーの自立化へのステップとして電力市場への統合を促していくもので、これを踏まえ、新規認定でFIT制度が認められる対象についても、事業者が希望し、制度として対応可能であれば、FIP制度の新規認定を選択可能とすることを基本とする。

FIP制度導入当初の2022年度は、希望する事業者について、50kW以上(高圧・特別高圧)に限って、FIP制度の新規認定/移行認定を認めることとしている。

なお、沖縄地域・離島等供給エリアにおいては、他の地域でFIP制度の対象とする区分等についても、少なくともFIP制度開始当初は、FIT制度を引き続き適用できることとしている。

太陽光の新規認定でFIP制度対象とする領域については、2022年度については、1,000kW以上とすることとした。現在、地域活用要件を課していない50kW以上については、早期のFIP移行を目指す。また、FIP制度においても入札制を適用すべきだとして、1,000kW以上をFIP入札の対象とすることとした。

また、風力発電では少なくとも2022年度は、FIP制度のみ適用が認められる区分等は設けないこととした。また事業者の希望によってFIP制度の新規認定/移行認定を認める際には、入札の対象としないこととした。

FIT制度の地域活用要件について

FIT制度において求められる「地域活用電源」についても整理し方向性を示している。

たとえば、太陽光発電については、(1)50kW以上は、地域活用要件を設定してFIT制度による支援を当面継続していくのではなく、電源毎の状況や事業環境をふまえながら、FIP制度の対象を徐々に拡大し、早期の自立を促すこと、(2)2020年度から自家消費型の地域活用要件が設定された10~50kWについては、2021年度は現行の地域活用要件を維持して様子を見ることとしている。

調達価格等算定委員会は、経済産業大臣に対して、今回示した2021年度以降の調達価格等に関する意見(案)を尊重して、2021年度の調達価格や入札対象区分等の指定、入札実施指針の策定を行うことを求めている。

また、2022年度以降の交付対象区分等、基準価格等、特定調達対象区分等、調達価格等、入札対象区分等、入札実施指針、解体等積立基準額についても、2022年4月施行改正法に係る省令等を整備し次第、早期に確定し、確実に2022年4月1日から改正法に基づく施行をすることを求めている。

【参考】